<説教の要約>

西経堂伝道所牧師 西田恵一郎 

「あなたに欠けているもの」 

(レビ記19章13~18節、マルコによる福音書10章17~22節)

 

 経済的・社会的・道徳的(十戒の後半部分を遵守していた)に申し分ない「ある人」(17節)がイエスに問い掛けます、「永遠の命(活き活きした生活、生き甲斐ある人生、死後に完成する神と共に在る命)を受け継ぐには、何をすればよいでしょうか」(17節)と。イエスは彼を「見つめ、慈しんだ(愛した、愛し抜かれた)」(21節)。そして答えます、「あなたに欠けているものが一つある。行って持っている物を売り払い、貧しい人々に与えなさい。そうすれば、天に宝を積むことになる。それから、私に従いなさい」(21節)と。「天に宝を積む」とは「自己の存在の根拠を神に求め、神中心に生きる」こと、「神の中に飛び込むこと」を意味します。これがこの人に「欠けているもの」でした。この物語の直前に「子どもを抱き寄せ、手を置いて祝福する」(16節)イエスの姿が記されています。彼はイエスにそのようにして欲しかっただけ。ならば、子どものようにただ主の手に飛び込めばよかった。この時は、それが叶わなかった。しかし、後にイエスは彼を探し出し、会われたはずなのです。生まれつき目の見えなかった男を癒し、後に会われたように(ヨハネ9章)。「人にはできないが、神にはできる」(27節)。神の愛がこの出会いを可能にするのです。