<説教の要約> 

西経堂伝道所牧師 西田恵一郎

 「愛することは、世に勝つこと」 

(申命記30章11~14節、ヨハネの手紙一5章1~5節)

           

 この手紙の主題である相互愛の実践が4章後半で先鋭化され、そのために「神がまず私たちを愛して下さった」ことが繰り返し説かれます。この神の愛の先行性があった上で、この手紙の鍵言葉「信仰・愛・服従」(5章1~5節参照)という人間の応答が加わり、相互愛は可能になります。これら3つの要素の起点は新生にあり、新生を可能にするのは誰もが知る「神は、その独り子をお与えになったほどに、世を愛された。御子を信じる者が一人も滅びないで、永遠の命を得るためである」(ヨハネ3章16節)の約束です。この約束を紹介するために前もって登場させられていたファリサイ人ニコデモもイエスを信じ、互いに愛し合う者とされていました(ヨハネ7章50~51節、19章39節参照)。ヨハネの手紙一5章1~3節は「イエスがキリストであると信じる人は皆」神の子であり、神の家族である。また「生んでくださった方(神)を愛する人は皆」家族のメンバーであるお互いを愛し合うと語っています。つまり、神を愛することと互いに愛し合うことは同じこと、連動しているとも言えるのです。そして、この重荷と思える課題は家族の長子であるイエスが共に担ってくれるので「難しいもの」(3節)ではないのです。「世」は神の家族のこのような生き方を支持しません。しかし信仰によって「世に勝つ」(4節)というのが約束です。この世にあって、キリストの証人、神のために生きる者として、愛し合い祈り合いながら進んでまいりましょう。