<説教の要約>

西経堂伝道所牧師 西田恵一郎

「神の戒めは互いに愛し合うこと」

(申命記6章4~5節、ヨハネの手紙二4~9節)

           

 ヨハネによる福音書とヨハネの3つの手紙は使徒ヨハネが書いたとされています。これらの書物を通じ著者が一貫して、また繰り返し説いたのはイエスが新しい戒めとして与えた「互いに愛し合う」ことです。この戒めは「神を愛する」(申命記6章5節)、「隣人を愛する」(レビ記19章18節)、「敵を愛する」(マタイ5章44節)を凌駕し、また完成する画期的なものでした。愛神・愛隣・愛敵の主語が「私」あるいは「あなた」である一方、相互愛の主語は「イエス」です。まず「私(イエス)があなたがたを愛した」(ヨハネ13章34節a)のです。そして、「(その)ようにあなた方も互いに愛し合いなさい」(ヨハネ13章34節b)と続くのです。そこで、気づくのは自分にはイエスのようには出来ないということです。そして、模範とする以前にイエスをメシア(救い主)として信じる必要があると知らされるのです。「愛は信仰を土台として、内的必然性をもって信仰から生まれる」からです。信仰とは「自分を根っこから抜き取って神という土地に移植すること」です。「神の子イエスをメシアとして信じます」という信仰告白により、この作業が始まり、その土地に「とどまる」ことにより愛という実が実ります。そして信仰と愛の実は一層成長し、相互愛と言う形で完成に至るのです。この世の信頼感や愛情は余りにも不確かです。だからこそ世は相互愛を渇望しています。その実現は私たちを愛し、命を捨てた神の子への信仰によるしか道はないのです。