<説教の要約>

西経堂伝道所牧師 西田恵一郎

「ただ一つの福音」

(列王記下6章11~19節、ガラテヤの信徒への手紙1章1~10節)

 

「ガラテヤ地方の諸教会」(2節)はパウロの第一伝道旅行中(西暦46~48年)に建てられた教会です。キリスト教に回心した人たちの中に元ユダヤ教の教師で、パウロの成功を妬み、彼への誹謗中傷によって回心者たちをキリストから引き離そうとする偽教師たちが居ました。パウロは彼らに「呪われるべき」(8,9節)と怒りを露わにしつつ「こんなにも早く(神から)離れて、ほかの福音に移って行こう」(6節)とする信者たちにも怒りを覚えます。福音は一つです。イエスの十字架の死と復活の出来事を伝える喜びの知らせ以外に「ほかの福音」などは存在しないのです。イエスの十字架の死と復活に付け足したり、あるいは差し引いたりする教えは全て名ばかりの福音であり偽りです。この誘惑は「人に取り入ろうとする」(10節) 時に起こります。パウロにもこの誘惑がなかった訳ではありません。しかし、ただ神の御旨に従い、十字架に向かって自分を献げ尽くされたイエスとの出会いを思う時、すべては塵あくたなのです。イエスを知る素晴らしさ故に「人の歓心を買おう(とする)」(10節)ことはあり得ないのです。しかし、もしそこに戻ったなら「私はキリストの僕」(10節)ではないと断言します。私たちも同じ思いで「世の栄え打ち捨て十字架にすがりて一筋に行かん。み救いに入るまで」(讃美歌第二編182番)と告白しながら、主に従う者とさせて頂きたいものです。