<説教の要約>
西経堂伝道所牧師 西田恵一郎
「安心しなさい、恐れることはない」
(イザヤ書60章1~5節、マルコによる福音書5章21~43節)
会堂長(礼拝堂の責任者)ヤイロはその地位・名誉・権威の故に田舎者のイエスとは関わろうともしませんでした。しかし、自身の幼い娘が死にそうになった時、藁にも縋る思いでイエスの足元にひれ伏し、助けを請います。娘の居る所へ急ぐヤイロとイエス一行に足止めを食わせたのが12年間も血の病に悩まされていた女でした(25節)。彼女は人間が持つ4種類の痛み(肉体的・精神的・社会的・経済的)全てを抱えていました。ヤイロ同様、藁にも縋る思いでイエスの「イエスの衣に触れた」(27節)ところ、瞬時に癒されてしまいます。居てはならない所で、してはならない事をした結果、癒された。「恐ろしくなり、震えながら進み出て、ありのままを話した」(33節)彼女にイエスは「あなたの信仰があなたを救った」(34節)と言われました。彼女は必死の思いでイエスに触れただけなのです。その思いと行為をイエスが受け止めてくださり、その手の中で「信仰」と変えて下さったのです。信仰とは人が造り出すものではなく、神からの賜物なのです。4つの痛みに霊的痛み(人生における無目的・自己存在の意味喪失・無価値)を加える人が居ます。イエスの「安心して行きなさい。病苦から解放されて、達者でいなさい」(34節)には安心(平和)と解放(痛みからの自由)と達者(霊的健全性)が含まれていました。12年間のハンディは小さくはありません。しかし、彼女は達者で生きたでしょう。私たちも痛みを抱えてまま、主の前に出る者でありましょう。